遺言の書き方【段取り】

遺言書の書き方【段取り】

遺言書の書き方【段取り】

 遺言は、生前における最終の意思を表明することです。遺言書を書くということは、自分の意思を相続人に伝えることに外なりません。伝えることによって、争族トラブルが避けられるのであれば、残しておかないという選択はありません。遺言書の作成で、ぜひ争族トラブルを避け、円満な財産の承継を実現させましょう。

 

 遺言書を書く際、まず何から手続をすすめたらよいでしょう?ここでは、その段取りを説明していきます。いくつかのステップに分けることで、ゴールも見えてきますので、途中で挫折してしまう可能性も少なくなります。各段階で注意すべきこともお伝えしていきますので、途中で投げ出さず、しっかり遺言書を完成させ、円満な相続を目指しましょう。

 

STEP.1 財産債務の確認【財産目録の作成】

 実はこのステップは重要です。遺言書に書く予定の財産(例えば自宅だけ)ばかりでなく、ご自身のすべての財産を一覧にして確認した方が良いのです。その理由は、相続人には相続人としての最低限相続できる遺留分というものがあるのです。この遺留分は民法改正により、遺留分侵害額請求権というお金を請求できる権利になりました。改正前のように、財産の上に共有分として存在する権利ではなくなったとはいえ、侵害した遺言書の場合、相続人間でのトラブルとなりかねません。その遺留分に配慮するためにも、ご自身のすべての財産や債務を把握して、遺留分を侵害しないようにしておくことが良い場合があるためです。必ずしも侵害している遺言が無効となるわけではありませんが、円満相続を目指すのであれば、遺留分に配慮しておくことも必要です。

 具体的には、不動産であれば、固定資産税の課税台帳(名寄せ帳)や課税明細などや不動産登記事項証明書などで確認していきます。預貯金については、通帳の口座番号や定期証書などの番号で、預金を特定しておきます。住宅ローンなどは契約書で確認して、それらを一覧表にしていく作業です。これがなかなか進まないことがあります。自分ではわかっているものなので、自宅と書いておけば、相続人は分かると思ってしまいがちです。しかしその自宅に隣接した駐車場や庭や畑などがその自宅に含まれるか相続人の考え方によって異なっていた場合にはトラブルとなってしまうのです。そのために、この財産目録の作成の時には、誰がみても同じように特定できるような書き方が必要になってきます。不動産であれば、登記事項証明書の記載のとおりであったり、預貯金の口座番号や証書番号、ローンであれば契約日や契約番号など誰が見ても同じように特定できる書き方をしておきましょう。海外に財産がある場合や高価な骨董や宝飾品がある場合、未登記の建物がある場合などは、少し難しいようであれば専門家のサポートをうけることが良いかもしれません。

 

STEP.2 受遺者を特定しておく【親族関係説明図などの作成】

 将来の相続人になる人に遺言で財産を渡す場合であれば、その人との続柄や本籍地を記載しておくことも重要です。転勤が多い方に財産を渡そうとした場合、相続開始の時に住所が異なっていて渡せなくなってしまうことを防ぐためです。そのためには親族関係のわかる戸籍などであらかじめ続柄や本籍地、生年月日などで、人を特定しておくのです。親族以外の方や法人に財産を与えたいと考えている場合にも、戸籍や法人の登記事項証明書などで確認して、その上で、もらってくれるかの確認をしておいた方が良いでしょう。特に親族以外の場合取得後の管理の問題などで、もらってくれない場合もあり得ますので、親族以外の場合は、まずもらってくれるかの意向確認も必要になってきます。

 離婚経験があったり、海外に相続人がいたり、相続人の中に判断能力の低下がしている方がいる場合など個別の事情がある場合などは、専門家のサポートを受けた方が良い場合もあります。

 

STEP.3 遺言書を書く

 STEP1で調べた財産債務を、STEP2の受遺者へ与えることを文章化する作業になります。遺言書は、民法の定めた方式に適合していなければなりません。通常は、公正証書遺言か自筆証書遺言か、いずれかの方式で書かれる場合が多いです。公正証書遺言の場合には、証人が二人必要であったり、費用が掛かったりしますが、全国の公証役場で、遺言書の検索ができます上、公証人がその法律行為の内容もチェックしますので、遺言書の有効性についても一定の担保がされています。何より公正証書であれば、改変偽造の可能性がありませんので、安心です。一方自筆証書遺言は、全文を自署して署名押印しなければならないため、簡易である反面、全文の自署がハードルを高くしています。その上、自宅で管理する場合には、のちの改変や偽造の可能性が完全に防ぎきれないかもしれません。この自筆証書も法務局での保管制度がありますが、公正証書で作成する場合とは異なり、その内容のチェックを法務局ではしてくれません。

 文章化にあたり注意しなければいくつかあります。一つは、STEP1でもお伝えしました誰が見ても同じように特定できる財産債務の書き方を心がけることです。また財産を与える代わりに扶養などの義務を課す負担付遺贈などの場合もその負担(義務)の内容についても、誰が見ても同じように分かるように特定化しておく必要があります。ほかにも、遺言でしか指定できない遺言事項である、その遺言内容を実現する遺言執行者の指定をするかしないかなどは検討しておいた方が良いでしょう。

 財産を特定の人に多く残す場合の付言事項の書き方や、受遺者が先に亡くなった場合の予備的遺言などは、必ずしも書かなくても良いのですが、書いておいた方が良い事項もあります。経験豊富な専門家に相談してみるのも一つかと思います。

 

STEP.4 遺言書の管理

 書きあがった遺言書の管理は重要です。公正証書の場合は公証役場にデータとして残りますからあまり管理上の問題はありません。一方自筆証書遺言で自宅での保管ですと、生前に簡単に親族に見られたり、逆に相続開始後でも見つけてもらえなかったり、そんな不安もあります。そのうえ、自筆証書で法務局での保管以外の場合には、相続開始後家庭裁判所での検認手続が必要になります。自筆証書遺言の法務局での保管も始まっておりますので、検認手続のいらない法務局での保管は自筆証書遺言の管理の上で一つの選択肢です。既に書かれている遺言以外のこれから書く遺言書の場合は、法務局のウェブサイトを確認の上用紙の柄や余白に注意して書き、製本前に法務局の事前相談を利用することをお勧めします。デジタルデータとして読み込みをするため、ホチキス等の製本前の状態の方が便利な場合があるためです。

 遺言書の保管管理を考えると、公正証書遺言の方法をとるか、自筆証書遺言でも法務局での保管をとるか、いずれかが有利かと思われます。

 

遺言の書き方でお困りの時は新潟上越の行政書士阿部成恭事務所へ

 4つのSTEPに分けて考えると少しわかりやすくなったと思いますがそれでも少し個人では難しいというとき、それぞれの段階で個人で解決することが難しいことも含んでいますので、そんな際には専門家のサポートを求めるのがよろしいかと思います。行政書士阿部成恭事務所では、初回の相談は無料で、出張相談にも対応しております。あらかじめご予約の上、ご相談ください。